過ぎゆく春を惜しみながらも
貴方の笑顔が見られた夏
色んなことを解り始めた秋と
何か失った冬
全てが始まって全てが終わるそんな日々に私は1人取り残される気がして
だからどうかどうか今握っているこの手を離さないで
離してしまったらきっと・・・・終わってしまうから
愛おしいとか切ないとか悔しいとか痛いとか
「殿っ・・・」
皆が安心の色で出て行ってヒノエくんは何か食べた方がいいだろうと台所に桃などを取りに言ってくれて
弁慶さんは包帯の替えを取りに行くといって部屋を出て行った頃
小さな声が障子の隙間から聞こえた・・その鮮明で綺麗な声はすぐに敦盛くんだって解った
でもその声は震えていて・・・少しだけ悲しさを含んでいるようなそんな感じがした
「敦盛くん??」
「今・・失礼しても・・よいだろうか??」
「はいどうぞ」
怯え怯えに障子を開けて出てくる敦盛くん
その顔は少しだけ不安そうで悲しげで・・私は笑顔を作って敦盛くんに座るように言った
「・・・良かった怪我もたいしたことないみたいで」
「いや・・貴方の力だろう傷は全て塞がっていた」
「そうですか・・本当に良かった敦盛くんには・・生きて欲しかったから」
「殿っ・・私はっ!!」
「・・敦盛くん私・・敦盛くんを敵なんて最初から思ってないって初めて会った時言ったよね??」
「あ・・あぁ」
「あの時から・・私は敦盛くんを八葉でもないお友達だと思ってたの・・だから誤らないで」
項垂れていた顔を上げ驚いたように私を見る敦盛くん
ぎゅっ
優しく微笑みかけて敦盛くんを抱きしめた
小柄で少しやせ気味の体が痛々しくて・・でも暖かかった
「・・あっあの殿!!!」
「・・・平家とかそんなの関係ないじゃない・・敦盛くんは敦盛くん私・・前こう言ったよね」
「・・・・殿・・」
「それに敦盛くんは望美ちゃんや弁慶さん・・ヒノエくんに八葉の皆と同じ友達だもの」
「・・・・・・・」
「以前守ることの出来なかった私だから・・・今度は今度だけは大切な人を守りたいっっそう思ったの」
ポンポンッ
敦盛くんが私の背中に手を置いてポンポンと叩く
敦盛くんの服から香る派手すぎないいいにおいの御香の匂いが華を掠める
「有難う殿・・貴方のような人に出会えて良かった」
「何言ってるの・・それは私の台詞だよ」
体を離し真正面から見合う
敦盛くんの不安は吹き飛んで薄っすらと顔を微笑ましていた
「なら・・友として礼を言おう・・助けてくれて有難う」
「いいえ・・・どう致しまして」
「そろそろ入ってもいいかい??」
「そうですねココでの待ちぼうけは2回目なので・・僕もそろそろいい加減にしてほしいです」
障子に寄りかかってはぁとため息を付いているヒノエくんに
ヤレヤレ顔で怒っているのかわからない笑顔を浮かべた弁慶さん
それを見て真っ赤な顔をしてオロオロしている敦盛くん
私も正気のさなでは無かった
「どどどどど・・何所から聞いてたんですか?!」
「いや姫君が敦盛を抱きしめたところぐらいじゃないかな??」
「丁度2人がいい雰囲気になり始めてからですね」
真っ赤な顔をして混乱しだす敦盛くん
私は2人が怒っているような感じがして体をビクビクさせていた
視線を大幅にずらし・・どうしたものかと思っていたらモコナが弁慶さんの肩からピョンピョンと跳ねてきて
私に近寄る
『―具合どうぅ??』
「あぁモコナ・・大丈夫だよゴメンね心配かけたよ・・ね」
『そうだよー!!!だってモコナに何にも言わないんだもんっ』
「ゴメンなさい・・それは・・」
『はいっお見舞い〜』
手には白とピンクのコスモスが握られていた
ふっと笑顔を作りそのコスモスを受け取る
「有難うモコナ・・」
『今日はモコナお礼ににぎゅーってしてるのぉ』
「そうな・・の??」
『モコナに何にも言わなかった刑でーす』
私のひざにぎゅってしがみ付くモコナにふっと笑顔を作る
「さて・・じゃぁさん包帯かえましょうか」
「あっはい・・ゴメンなさい態々・・ってえ??弁慶さんがかえるんですか??」
「はい服脱いでもらえますか??」
「なっ!!!」
「おいっ!!!」
「弁慶さん?!」
ニコッリ微笑む弁慶さんに顔を真っ赤にする
敦盛くんやヒノエくんが反射的に弁慶さんを見る
「まぁそれは冗談として・・腕ぐらいは僕に包帯巻かせてくれますか??」
「あっは・・はいっ」
「でも姫君・・お前の治癒能力は応龍の力なのかい??」
「そうだな私の深かった傷も後すら残っていない」
そう言って敦盛さんは脇を手で押さえる
応龍の力・・・だとしたらあの声は・・・
でも応龍は・・・色んな考えが交差する・・でも血なんて・・
「・・・気持ち・・悪いかな・・」
ポツリと出た言葉・・ずっと気にしていた・・
でも怖くて聞けなくて・・・
「そんな事ないっ!!殿は私を命がけで助けてくれた・・それに気持ち悪いなど・・」
「そうだよ姫君だからお前が恥じる必要はないさ」
「それに・・・」
包帯を巻いていた弁慶さんが巻き終わったのかポンッと私の腕を軽く叩いて
綺麗に微笑む
「どんな君だとしても僕らは君を汚いなどと言う訳がありませんよ」
「・・・有難う」
『っ今日ねモコナ凄い花畑見つけたんだ!!一緒に行こー!!』
「・・・うん行こうか・・敦盛くんも行かない??」
「え??」
「そうだね後は望美ちゃんと朔ちゃんと・・」
「しかし・・殿私は・・」
少し焦り気味に言う敦盛くんに微笑みかける
「妬けるね姫君俺の前で他の男を誘うのかい??」
「そうですね僕も少し妬けてしまいますね」
「い・・いや!!そういう訳じゃっっじゃ・・じゃぁヒノエくんと弁慶さんも!!」
『じゃぁモコナ望美たち誘ってくるー!!!』
「さっ行こう敦盛くん」
「あ・・あぁ」
その優しそうに微笑んだ顔が今の綺麗によみがえる